砂浜で発光するウミホタル |
4月の話になりますが、ウミホタル(Vargula hilgendorfii)の観測・採集を目的として2度ほど篠島まで行ってきました。ウミホタルは体長約2mm、二枚貝のような形状をしていますが、甲殻類に属する発光生物です。黄色く光る陸の蛍とは異なり、鮮やかな青色の発光が特徴的です。そんなウミホタルの観察と採集の記録です。
今回のフィールドとなった篠島は、三河湾に浮かぶ小島。ちょうど知多半島南端と渥美半島南端の間に位置します。半日もあれば一周できてしまうほどの小さな島ですが、漁業が盛んで愛知県随一の漁船保有数だそうです。島の東側には前浜(ないば)という全長800mの美しい砂浜が広がっていて、ここでウミホタルを観察することができました。
前浜海岸全景 |
ウミホタルは夜行性の生物。日中は砂の中に隠れていて、夜になると海中へ泳ぎ出てきます。宿のおばちゃんに、ウミホタル見るなら21時以降が良いという情報をもらっていたので、食事と風呂を済ませてから夜の海岸へ。浜を歩いてみましたが、稀に海面で微かな青い光が見れた程度で、海面にも砂浜にもウミホタルはほとんど見つかりませんでした。そんな中、ウミホタルの観察を行っている地元の方を発見。罠を仕掛けてウミホタルを採集していたようで、集めたウミホタルを浜辺に撒き、発光する様子を見せてもらいました。以下の動画はその時撮影したものです。ウミホタルは、体内で合成したルシフェリンとルシフェラーゼを体外に放出し、海水中の酸素とこれらが反応することで発光しますが、動画の中でもルシフェリンやルシフェラーゼが放出されている様子を確認することができます。いやはや、これは美しい。
この時は観察がメインだったので、採集を目的として2度目の訪問。やはり海面や砂浜では見つからなかったので罠を仕掛けることに。宿の方に頂いた魚のアラをビンに入れ、穴を開けたフタをしたものをトラップとしました。海に沈めて待つ事10分。下の動画でわかりますが、驚くほど大量のウミホタルがエサに食いついていました。美しい発光に注目が集まるウミホタルですが、その実態は海のスカベンジャー(腐肉食)。なかなか見れないウミホタルの生態を観察することができました。
採集したウミホタルの一部はペットボトルに詰めて持ち帰ることに。砂を敷き詰めた20cmほどの水槽で人工海水を使って飼育しています。濾過装置は付けずエアレーションのみ、エサは乾燥アカムシを週に1・2回ほど。飼育開始後1月以上経過しましたが、成体に混じって卵から孵化した幼体も水槽中で元気に遊泳中。
死んだウミホタルでも、乾燥保管していれば潰して水を加えることで発光させることが可能。乾燥重量1g以下のウミホタルが約5,000円で販売されていますが、繁殖に成功すればお金をかけずにいつでもウミホタルの発光を楽しむことができます。当面の課題は、夏や冬の水温管理でしょうか。
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