2011年6月7日火曜日

東松照明とおさげ髪


日本を代表する写真家、東松照明の写真展「写真家・東松照明 全仕事」を観に名古屋市美術館へ行ってきました。「全仕事」と題しているだけあってものすごい作品数で、戦後から現在までの500点以上に及ぶ写真が展示されています。すべて観るのに2時間近くかかってしまいましたが東松照明の世界観を堪能することができました。

個人的に惹かれたのは、「長崎ー被爆・記録からの肖像へ」と題された長崎の原爆の記録。原爆=悪というメッセージに留まらず、彼自身の心の葛藤が写しだされているような気がしました。展示の中の以下のような文章が目をひいた。
〈見た〉と、〈見ない〉の距離は大きい。その距離を行動によって埋めることができるであろうか、写真を撮ってゆくことによって、それをできることはあるだろうか、といった“問い”がさらに、そのまた翌年ぼくを長崎へかりたてるのです。  
フォトコンテスト1965年2月

長崎の写真は、1961年に『hiroshima-nagasaki document 1961』として写真集にまとめられていますが、“終わりの無い答え”を探すためにその後も長崎への取材は続いています。特に、被爆者である片岡津代さんの長年にわたるポートレートは有名ですが、1994年に長崎を訪問した際、「先生だけは私の傷の無い方からも撮影してくれた」と語ったようです。単なる記録写真という枠を超え、より深い部分で対象を見つめる東松氏の心情を垣間みた気がしました。 

とまあ、にわか知識を披露してみた次第ですが、写真展には各所に上記のような東松氏自身の文章が引用されていたので、僕のような素人でも展示を楽しむことができました。「写真家・東松照明 全仕事」は2011年6月12日まで名古屋市美術館で開催しています。お時間のある方は是非訪れてみてください。

ちなみに、僕がこの写真展へ行ったのは先週金曜の夕方。名古屋市美術館では金曜日は開館時間を8時まで延長しているので、仕事帰りに立ち寄れるのがいいですね。お土産に、名古屋市美術館の所蔵するモディリアーニの名画をもとにしたおさげ髪キャンディを購入して帰りました。


それにしても、WWDC2011が待ちきれない!

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